
仕事より先に「言葉」でつまずく
在宅ワークを始めて最初につまずくのは、実は「仕事」じゃありません。
「経費って何を入れていいの?」 「按分ってどうやるの?」 「扶養から外れたらどうなるの?」
こういう言葉を目にした瞬間、頭が真っ白になる。調べれば調べるほど、SNSや知恵袋で違うことが書いてあって、余計に分からなくなる。
「よく分からないまま進むのが怖い」 「間違えたら家族に迷惑がかかりそう」 「誰か正解を教えて…」
そう思いながら、検索窓に「在宅ワーク 経費 扶養」と打ち込んでいる方は、きっと少なくないはずです。
この記事は、そんな「分からなくて止まっている人」に向けて書きました。税金の正しい答えを教える記事ではありません。なぜこんなに分かりにくいのか、どこで混乱するのか、その「不安の正体」を整理するための記事です。
SNSや知恵袋で、こんな悩みを見かけませんか?
在宅ワークを始めた人たちのリアルな声を見ていくと、「私だけじゃなかったんだ」と気づくことがあります。

「按分(あんぶん)」がそもそも分からない
按分という言葉は、在宅ワークを始めて初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。
電気代や通信費、家賃の一部を「仕事で使った分」として計算するらしい。でも、それって何を基準にするの?
「1日3時間しか働いてないのに、月額の何%にすればいいの?」 「部屋の広さ? 使った時間? どっち?」 「正解が1つじゃないのが怖い」
実際、按分の方法は「時間」「面積」「日数」など、人によって考え方が違います。明確に「この方法じゃないとダメ」というルールがあるわけではないからこそ、逆に混乱しやすいんです。
なんとなく「これくらいかな」と決めるのも不安。でも細かく計算しようとすると、それはそれで何が正しいのか分からなくなる。そういう「どうしたらいいんだろう」という宙ぶらりんの気持ちになりやすいのが、按分という概念です。
「これって経費?」のグレーゾーン
レシートを捨ててしまった。100均で買った文房具。カフェで作業したときのコーヒー代。
「これって経費にしていいんだっけ?」
調べると、「業務に必要なものなら経費」と書いてある。でも、じゃあ何が「必要」なのかは、自分で判断するしかない。
さらに難しいのが、「普段も使っているもの」です。
撮影用に買ったコスメ。動画編集用のパソコン。でもプライベートでも使ってる。これは全額経費? それとも一部だけ?
「OKなのかNGなのか、はっきり教えてほしい」と思いますよね。でも実際には、白黒つかないグレーゾーンが山ほどあって、多くの人がここで悩んでいます。
このグレーゾーンが一番ストレスになるんです。「これくらいなら大丈夫だろう」と思いつつ、でも本当に大丈夫なのかは分からない。その不安を抱えたまま進むしかない、という状態が続くのが、在宅ワーク初心者にとっては一番つらいところかもしれません。
「夫の扶養」との兼ね合い
そして一番不安が大きくなるのが、「扶養」の話です。
「扶養内で働きたい」と思っているけれど、そもそも「扶養」って何? 所得って、売上のこと? それとも経費を引いた後?
「赤字だったら影響ないの?」 「経費を多めに計上すれば扶養内に収まるの?」
さらに怖いのは、これが自分だけの問題じゃないということです。
「夫の会社に迷惑かけたらどうしよう」 「扶養から外れたら、家計にどれだけ影響するんだろう」
SNSを見ると、「○万円までOK」という情報がたくさん出てきます。でも、それが「税金の扶養」なのか「社会保険の扶養」なのか、売上なのか所得なのか、よく分からない。
そして同じ質問をしているはずなのに、回答がバラバラで、余計に混乱します。
賃貸・持ち家による違い
「家賃は按分できるらしい」と聞いて、賃貸の人は少しホッとします。でも、持ち家の人は「住宅ローンは経費にできない」という情報を見て戸惑います。
「じゃあ持ち家は損なの?」 「家賃を払ってる人だけ得するってこと?」
そう感じてしまう人は多いです。実際には、資産と経費の考え方がごちゃ混ぜになっているだけなのですが、最初はそこまで分かりません。
「同じ在宅ワークなのに、住んでる場所で違うの?」という疑問も湧いてきて、またひとつ不安が増えます。
なぜこんなに分かりにくいのか?

ここまで読んで、「やっぱり私、何も分かってない…」と落ち込む必要はありません。
分かりにくいのは、あなたのせいではないんです。
そもそも、日本の税金や社会保険の制度は「会社員」を前提に作られています。給料をもらって、税金は天引きされて、扶養も会社が手続きしてくれる。そういう仕組みが「当たり前」の世界です。
でも在宅ワーク、特に業務委託やクラウドソーシングで働く場合、あなたは「個人事業主」という扱いになります。
給料じゃなく「報酬」。 税金は天引きされないこともある。 経費は自分で管理。 扶養の判定も自分で考える。
会社員の仕組みとは全く違う世界に、いきなり放り込まれるわけです。
しかも、ネット上の情報は断片的です。経費のことを調べたら、按分の話が出てくる。按分を調べたら、扶養の話が出てくる。扶養を調べたら、所得と収入の違いが出てくる。
全部つながっているのに、どこから手をつけていいか分からない。そういう状態に陥りやすいんです。
経費・按分・所得を”ざっくり”整理してみる
ここで一度、全体像をざっくり整理してみましょう。
まず、お金の流れはこうなっています。
売上(報酬) → 経費を引く → 所得
売上は、あなたが受け取ったお金の総額です。 経費は、仕事のために使ったお金。 所得は、売上から経費を引いた残りです。
そして、「扶養」で見られるのは、多くの場合この「所得」の金額です。売上ではありません。
按分は、「経費」の中で使う考え方です。家賃や電気代のように、仕事とプライベートの両方で使っているものを、「このくらいの割合で仕事に使ってます」と分けるための方法です。
つまり、こういう関係になっています。
- 売上:受け取ったお金
- 経費:仕事で使ったお金(按分はここで使う)
- 所得:売上 – 経費(扶養の判定で見られることが多い)
この構造を頭の片隅に置いておくだけで、少し整理されるかもしれません。
ただし、ここで注意したいのは、「だから所得を○万円以内にすればいい」という単純な話ではないということです。
扶養が絡むと、不安が爆発する理由
扶養の話になると、途端に情報が複雑になります。
なぜかというと、「扶養」には種類があるからです。
税金の扶養と、社会保険の扶養。この2つは別の制度です。しかも、判定の基準も違います。
SNSで「○万円までOK」と書いてあるのを見たとき、それが税金の話なのか、社会保険の話なのか、売上のことなのか所得のことなのか、書いてある人によってバラバラです。
だから、同じように「扶養内で働きたい」と質問しているはずなのに、回答が全然違って見えるんです。
「同じじゃない」ということが、一番の混乱の原因になっています。
さらに、夫の会社によっても扱いが違うことがあります。会社独自の扶養手当がある場合、その基準はまた別だったりします。
こうなると、「一般的にはこう」という情報だけでは足りなくて、「自分の場合はどうなのか」を確認しないと分からない、という状態になります。
だから不安が爆発するんです。
よくある思い込み・やりがちなこと
ここまで読んで、少し整理されてきたでしょうか。
最後に、多くの人が陥りがちな思い込みをいくつか紹介します。あなたも「そう思ってた…」と感じるものがあるかもしれません。
「レシートがない=全部ダメ」
レシートを捨ててしまったから、経費にできない。そう思ってしまう人は多いです。
確かにレシートや領収書は大事です。でも、ない場合でも、出金伝票やメモで対応できることもあります。「全部ダメ」と諦めてしまう前に、記録の残し方を調べてみると良いかもしれません。
「少額だから関係ない」
「月に数千円しか稼いでないし、税金も扶養も関係ないでしょ」と思っていたら、実は扶養の判定には影響があった、というケースもあります。
「少額だから」と油断せず、一度全体を確認しておくと安心です。
「赤字なら何も考えなくていい」
経費を引いたら赤字になったから、確定申告もしなくていいし、扶養も大丈夫。そう思ってしまう人もいます。
でも、赤字でも確定申告をした方が良い場合もありますし、扶養の判定も「所得がマイナスだからOK」とは限りません。
「赤字=何もしなくていい」と思い込んでしまうのは、少し危険かもしれません。
この記事で伝えたいこと
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
この記事は、正しい税金の知識を教えるものではありません。「あなたは○○すべき」と指示するものでもありません。
ただ、「分からなくて当たり前」ということを伝えたかったんです。
在宅ワークを始めたばかりの人が、経費や按分や扶養で混乱するのは、おかしなことじゃありません。制度が複雑で、情報が断片的で、しかも「自分だけの問題じゃない」という怖さもあるから、不安になって当然なんです。
最初から完璧じゃなくていい。分からないことがあるのは、ちゃんと向き合っている証拠です。
もし、この記事を読んで「自分だけじゃなかったんだ」と少しでも安心できたなら、それだけで十分です。
そして、もし「もう少しちゃんと知りたい」と思ったら、そのときは税務署や税理士さんに相談してみてください。あなたの状況に合わせて、具体的に教えてもらえます。
不安で止まっていたあなたが、次の一歩を踏み出せますように。
※注意事項
税金や扶養の扱いは、家庭や契約形態によって異なります。正確な判断が必要な場合は、税務署や専門家に確認してください。

