【ブランク20年のリアル】働きたいのに動けない——その”本当の理由”
夜、家族が寝静まった後。スマホの明かりだけが部屋を照らす中で、佐伯ゆかりさん(43歳)は「在宅ワーク 主婦 ブランク」と検索していました。
20年前、信用金庫の事務職を辞めてから、ずっと専業主婦として家族を支えてきた彼女。娘が高校に進学するタイミングで、ふと家計簿を見つめながら思ったのです。「このままで、大丈夫なんだろうか」と。
働きたい。でも、パソコンは最低限のことしかできない。20年も社会から離れていた自分が、今さら誰かの役に立てるのだろうか。若い人ばかりの職場で、浮いてしまうのではないか。そもそも、何から始めればいいのかすらわからない。
検索窓に言葉を打ち込みながら、彼女の胸にはざわざわとした不安が広がっていきます。「やりたい気持ちはあるのに動けない自分」に対する、小さな罪悪感とともに。
あなたも、同じような夜を過ごしたことはありませんか。
子どもが成長して手が離れたとき、ふと「自分だけが取り残された」ような感覚に襲われる。家事も育児も一生懸命やってきたのに、履歴書に書けるような”スキル”が何もない気がする。外に出て働く体力も自信もない。でも、このまま何もしないでいるのも、何だか心がざわつく。
そんな複雑な気持ちを抱えながら、深夜のスマホ画面をスクロールし続けているのではないでしょうか。
もしかしたら、あなたの中には「働きたい」と「働きたくない」が同時に存在しているかもしれません。働かなきゃいけない気がする。でも、働くのが怖い。動き出したいのに、体が動かない。そんな矛盾した感情に、罪悪感を覚えていませんか？
大丈夫です。その複雑な気持ちは、あなただけのものではありません。多くの40代主婦が、同じように「働きたいけど、怖い」という感情の間で揺れています。その気持ちを否定しなくていい。まずは、そんな自分を認めることから始めましょう。
【私も同じだった】40代で再スタートした女性たちの小さな物語
実は私自身も、在宅ワークを始める前は同じような不安を抱えていました。
初めてクラウドワークスに登録したとき、何をどう書けばいいのかわからず、プロフィール欄を前に30分も固まっていたことを覚えています。タイピングの遅さに愕然とし、「こんな私に仕事なんて来るわけがない」と何度も思いました。
登録ボタンを押すまでに、3日かかりました。何度もページを開いては閉じて、「やっぱり無理かも」と思って。でも、ある夜、娘が「お母さん、頑張ってるね」と声をかけてくれたんです。その言葉に背中を押されて、やっと登録できました。
それでも、勇気を出して最初の案件に応募しました。データ入力の仕事で、報酬は500円。返事が来たときは、信じられないくらい嬉しかった。そして初めて振り込まれた金額は、手数料を引いて420円。でも、その420円を見たとき、涙が出そうになりました。「自分で稼いだ」という実感が、20年ぶりに心に灯ったからです。
別の相談者さんの話もお伝えします。田中さん(45歳・仮名)は、18年間のブランクがありました。彼女も最初は「体が動かない」状態でした。クラウドワークスに登録してから、実際に応募するまで2週間かかったそうです。
「毎日サイトを開いては、『明日やろう』って閉じてました。怖かったんです。応募して断られたら、『やっぱり私には無理だった』って確定しちゃう気がして」
でも、ある日、思い切って応募してみました。最初の1ヶ月間、彼女が取り組んだのは商品レビューの仕事。1件50円の案件を20件こなして、初月の収入は1,200円でした。
「たった1,200円です。でも、自分の言葉が誰かに読まれて、それがお金になった。その事実が、私の中で何かを変えてくれました。『私でもできる』って、初めて思えたんです」
田中さんは今、ライティングの仕事で月3万円ほど稼いでいます。決して大きな金額ではありません。でも、「自分にもできた」という自信は、お金以上の価値を彼女にもたらしました。家族との会話も増え、「お母さん、楽しそうだね」と言われるようになったそうです。
ブランクがあっても大丈夫だった根拠。それは、完璧である必要がないということです。求められているのは、丁寧さと誠実さ。20年間、家族のために続けてきた家事や育児の経験は、実は在宅ワークで最も必要とされる「段取り力」と「責任感」そのものだったのです。
【一歩ずつでOK】ブランク20年でもできる在宅ワークの始め方
では、具体的にどこから始めればいいのか。焦らず、順番に進めていきましょう。
ステップ1:自分を知る(現状把握)
まず最初にやることは、「今の自分」を知ることです。
タイピング診断をしてみる 「e-typing」という無料サイトで、5分だけタイピング練習をしてみてください。1分間に何文字打てるかがわかります。100文字以下でも大丈夫。これが今のスタート地点です。
できることリストを作る 紙に書き出してみましょう。
- メールの送受信ができる
- ネットで検索ができる
- 家計簿をつけている
- 料理のレシピを考えられる
- 子どものスケジュール管理をしている
- 人に説明するのが得意
こんな日常のことで構いません。「これはスキルじゃない」と思うかもしれませんが、全てが在宅ワークで活かせる能力なのです。
ステップ2:小さく稼ぐ経験をする(最初の1,000円を作る)
次に、実際にお金を稼ぐ体験をします。金額は気にしなくて大丈夫。大切なのは「自分で稼げた」という事実です。
おすすめの超初級案件
- データ入力 指定された情報をExcelやGoogleスプレッドシートに入力する仕事。見本通りに入力すればいいので、ミスが怖い人でも安心です。単価:1件100〜500円
- 口コミ・レビュー 使った商品やサービスの感想を書く仕事。普段の買い物の感想が収入になります。単価:1件50〜200円
- アンケート 簡単な質問に答えるだけ。スマホでもできます。単価:1件10〜100円
- 文字起こし(超短時間のもの) 5分程度の音声を文字にする仕事から始めましょう。単価:1件300〜800円
最初は時給に換算すると、とても低いかもしれません。でも、ここでの目的は「稼ぐこと」ではなく「稼げた経験」を得ることです。
ステップ3:ゆるスキルを身につける
少し慣れてきたら、次のステップに進みます。ここで身につけるのは、高度な専門スキルではなく、40代の感性が活きる「ゆるスキル」です。
Canva(画像編集) 無料で使えるデザインツール。テンプレートがたくさんあるので、選んで文字を変えるだけでおしゃれな画像が作れます。SNS用の画像作成などの仕事につながります。
ライティング 商品紹介やブログ記事の作成。あなたが普段感じていることを文章にする力は、すでに持っています。型を学べば、誰でも書けるようになります。
SNSサポート 企業のInstagramやX(Twitter)への投稿をサポートする仕事。丁寧なコミュニケーションができる人に向いています。
これらは、YouTubeの無料講座や、クラウドワークスの「学習コンテンツ」で学べます。1日30分、2週間続ければ、基本は身につきます。
【最初の1,000円を作る方法】40代主婦がつまずかない進め方
具体的な進め方を、日数ごとに説明します。
1日目:登録する
- クラウドワークスかランサーズに登録(どちらか1つでOK)
- プロフィール写真は笑顔のもの(顔出しNGならイラストでも可)
- 本人確認書類を提出(信頼度が上がります)
2〜3日目:プロフィールを作る (後ほどテンプレートを紹介します)
4〜5日目:案件を探す
- 「タスク」形式の案件を探す(承認されやすい)
- 「初心者歓迎」と書いてあるものを選ぶ
- 3件ピックアップする
6〜7日目:応募する
- まずは1件だけ応募してみる
- 返事が来なくても気にしない(採用率は10〜30%が普通)
- 来週までに3件応募することを目標にする
2週目:実際に作業する
- 採用されたら、納期を守ることだけに集中
- わからないことは素直に質問する
- 完璧を目指さず「丁寧に」を心がける
3週目:振り込まれる
- 初めての報酬が口座に入る
- 金額は気にしない。「自分で稼いだ」事実を味わう
1ヶ月目:継続する
- 同じクライアントから再依頼が来ることもある
- 実績が1件でもあると、次の応募がしやすくなる
- 「できた」という小さな自信が積み重なる
つまずきポイントと対処法もお伝えします。
つまずき1:「プロフィールに何を書けばいいかわからない」 → 次のセクションでテンプレートを用意しています
つまずき2:「応募しても返事が来ない」 → 10件応募して2〜3件返事が来れば上出来です。落ちることが普通だと思ってください
つまずき3:「作業に時間がかかりすぎる」 → 最初はみんなそうです。3回目には慣れます
つまずき4:「これでいいのか不安になる」 → クライアントに「初めてなので教えてください」と正直に伝えましょう。誠実さが一番評価されます
つまずき5:「家事との両立ができるか不安」 → 最初は1日1〜2時間から始めましょう。夕飯の支度前の30分、子どもが学校に行っている午前中の1時間。無理に時間を作らなくても、すき間時間で十分です。家族には「お試しで少しだけやってみる」と軽く伝えるだけでOK。最初から完璧に両立しようとしなくて大丈夫です。
つまずき6:「やる気が続かない」 → 最初の1ヶ月は「週に1件だけやる」でいいんです。毎日やろうとすると疲れます。私も最初は週2〜3日、1日30分だけでした。それでも続けていれば、自然とペースができてきます。「今日はやりたくない」という日があっても、自分を責めないでください。
【これだけ真似すればOK】プロフィール&提案文テンプレ公開
ここでは、実際に採用されやすいプロフィールと提案文の構成をお見せします。
プロフィールテンプレート
はじめまして、[名前]と申します。
現在、在宅でのお仕事を探しております。
20年間、家族のサポートをしながら家事・育児に専念してまいりました。
【できること】
・データ入力(Word、Excel基本操作)
・丁寧なコミュニケーション
・納期厳守
・レビュー・口コミ執筆
【スキルアップ中】
・ライティング
・Canvaでの画像作成
ブランクはありますが、丁寧で誠実な対応を心がけます。
初めてのことも、一つずつ確実に学んでいく姿勢で取り組みます。
どうぞよろしくお願いいたします。
ポイントは、「できないこと」ではなく「できること」と「これから頑張りたいこと」を書くことです。
提案文テンプレート(データ入力案件の場合)
件名:【丁寧・納期厳守】データ入力のお仕事に応募いたします
[クライアント名]様
はじめまして、[名前]と申します。
貴社の[案件名]に応募させていただきます。
【応募理由】
[案件の内容について共感したこと、興味を持った理由を1〜2行で]
【作業について】
・平日の日中、集中して作業できる時間があります
・納期は必ず守ります
・不明点はすぐに確認し、ミスのないよう努めます
【実績】
まだ実績は多くありませんが、丁寧さと誠実さには自信があります。
初めての案件も、一つずつ確実に対応いたします。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
採用率が上がる書き方のコツは、「完璧ではないけれど、真面目に取り組む姿勢が伝わる」ことです。経験の浅さは隠さず、でも「頑張ります」という気持ちを素直に伝えましょう。
初案件の選び方
選ぶべき案件
- 「初心者歓迎」と明記されている
- 作業内容が具体的に書いてある
- 評価が4.5以上のクライアント
- タスク形式、または簡単なプロジェクト形式
避けるべき案件
- 単価があまりにも高すぎる(詐欺の可能性)
- 「簡単に稼げる」と煽っている
- 作業内容が曖昧
- クライアントの評価が低い、または評価がない
最初は単価を気にせず、「完了できそうな案件」を選んでください。1件の完了実績が、次につながります。
【家事と仕事、どう両立する？】40代主婦のリアルなスケジュール例
ここで、実際に在宅ワークを続けている40代主婦の1日を紹介します。
山本さん(42歳)の平日スケジュール
- 6:00 起床、朝食・お弁当作り
- 7:30 家族を送り出す
- 8:00 家事(洗濯、掃除)
- 9:00〜10:30 在宅ワーク(1時間半)
- 10:30 休憩、買い物
- 12:00 昼食
- 13:00〜14:00 在宅ワーク(1時間)
- 14:00〜16:00 自由時間・家事
- 16:00〜 夕飯準備、子どもの帰宅対応
- 21:00〜 家族との時間
- 23:00 就寝
山本さんのポイントは「1日2〜3時間、2つの時間帯に分ける」こと。まとめて時間を取ろうとせず、すき間時間を活用しています。
「最初は1日30分から始めました。慣れてきたら、自然と時間が増えていった感じです。無理に時間を作ろうとすると疲れるので、『今日は30分だけ』でもOKって決めています」
家族への伝え方のコツ
最初は大げさに言わない方がうまくいきます。
「ちょっと在宅で仕事を試してみようと思って。1日1〜2時間くらい、すき間時間でやってみるね」
こんな軽い感じで十分。家族も「お母さんが頑張ってる」って応援してくれるようになります。
夕飯が少し遅くなりそうな日は、「今日は簡単メニューにするね」と事前に伝えるだけ。完璧を求めず、「働きながら家事もする」新しいバランスを家族と一緒に作っていく感覚です。
【あなたなら大丈夫】40代の強みは”丁寧さと経験”です
ここで、あなたに伝えたいことがあります。
ブランク20年は、マイナスではありません。それは「20年間、家族のために責任を果たしてきた」という、立派な経験です。
在宅ワークで求められているのは、高度なスキルだけではありません。むしろ、次のような力が評価されます。
40代が持っている強み
- 丁寧さ 若い人にはない、落ち着いた対応ができます。クライアントは「安心して任せられる人」を探しています。
- 責任感 家事や育児を通じて培った「やり遂げる力」は、納期を守る、約束を守るという形で活きます。
- コミュニケーション力 子育てやPTA、地域活動で身につけた「相手の立場で考える力」は、クライアントとのやりとりで重宝されます。
- 段取り力 限られた時間で家事をこなしてきた経験は、効率的に作業を進める力になります。
- 人生経験 40代だからこそ書ける文章、感じられる視点があります。特にライティングでは、この経験が強みになります。
実際、在宅ワークのクライアントからよく聞くのは「若くて技術はあるけど、納期を守らない人より、少し時間がかかっても確実に丁寧に仕上げてくれる人が欲しい」という声です。
あなたが「自分には何もない」と思っているその経験こそが、誰かの役に立つのです。
家でコツコツと作業を進められる人に、在宅ワークは向いています。派手さはいりません。静かに、確実に、一つずつ積み重ねていく。それが、あなたのやり方でいいのです。
【まとめ】ブランク20年でも、在宅ワークはここから始まる
最後に、今日からできる3つのアクションをお伝えします。
アクション1:クラウドワークスに登録する まずはアカウントを作ることから。登録自体は10分で完了します。
プロフィールの最初の3行は、こう書きましょう。
はじめまして、[名前]です。
在宅でのお仕事を探しています。
丁寧な対応を心がけます。
これだけで大丈夫です。詳しい内容は、後から追加できます。
今日登録できなくても大丈夫。明日でも、来週でも。あなたのペースで進んでください。「いつか」ではなく「具体的な日」を決めるだけでも、一歩前進です。
アクション2:タイピング診断を5分だけやる 「e-typing」で、今の自分のスピードを確認してください。遅くても問題ありません。これがスタートラインです。1週間後、もう一度測ってみてください。少しでも速くなっていたら、それが成長です。
アクション3:1件だけ応募する 「タスク」形式の案件を探して、1件だけ応募してみてください。
選び方のルール:
- 作業時間30分以内のもの
- 「初心者OK」と書いてあるもの
- 内容が理解できるもの
返事が来なくてもいい。応募ボタンを押した瞬間、あなたはもう一歩進んでいます。
そして、もし「怖くてボタンが押せない」と思ったら、それも大丈夫。その気持ちを否定しないでください。明日、もう一度このページを開いて、改めて考えてみましょう。焦らなくていいんです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
ブランク20年は、決してマイナスではありません。20年間、あなたは家族のために全力を尽くしてきました。その経験は、これから始まる新しいステージで、必ずあなたを支えてくれます。
「働きたい」と「働きたくない」、両方の気持ちがあっても大丈夫。矛盾した感情を抱えたまま、一歩だけ踏み出してみてください。完璧な準備ができてから始めるのではなく、不安を抱えたまま始めていいんです。
自信は、「行動してみた結果」からしか生まれません。
最初の100円は、人生の歯車が動き出す音です。最初の1件の完了は、「私にもできた」という証です。そして、その小さな積み重ねが、半年後、1年後のあなたを作っていきます。
あなたのペースでいい。誰かと比べなくていい。1日30分でもいい。週に1件でもいい。
今夜、スマホを見ながら「どうしよう」と悩んでいるなら、明日の朝、たった1つだけ行動してみてください。クラウドワークスのページを開くだけでもいい。タイピング診断をやってみるだけでもいい。
1歩踏み出した瞬間、未来は静かに、でも確実に動き始めます。
あなたなら、大丈夫です。
