
夜22時。
子どもたちが寝静まったあと、スマホで「在宅ワーク 主婦」と検索していました。
10年以上、専業主婦をしてきました。
子どもも少しずつ手が離れ、「そろそろ何か始めたい」と思うようになった頃です。
でも、外に働きに出るのは、まだ時間的に難しい。
だから在宅ワークを探していました。
そこで目に入ったのが
「在宅秘書」「オンライン事務」という言葉。
最初は
「事務なら、昔ちょっとやったことあるし」
と思いました。
でも、募集ページを開くたびに不安になり、
結局、応募ボタンを押さずにページを閉じていました。
頭の中で、ずっとこんな声がしていたからです。
- 今の事務って、全部デジタルじゃない?
- 資格がないと、そもそも相手にされないのでは?
この記事は、
そこで立ち止まっていた私の話です。
「私には何もない」と思っていた40代主婦の現実
10年以上専業主婦だった自分に、
今のデジタル化された事務が本当に務まるのか。
――募集を見るたび、ページを閉じていた理由
在宅ワークの募集を見るたびに、
「これは私じゃない」と感じていました。
募集に並ぶ言葉は、こんなものばかり。
- Excel得意な方
- Slackが使える方
- Googleドライブで資料管理できる方
どれも、ピンとこない。
Excelは関数なんて忘れたし、
Slackは名前しか知らない。
Googleドライブは使ったことがあるけど、
「管理」と言われると自信がありませんでした。
スマホで買い物や検索はできる。
でも、それは「仕事」じゃない。
子育てや家事はずっとやってきた。
でも、それは「スキル」じゃない。
そう思い込んでいました。
だから、募集ページを開いても
「求められているもの」と「自分」の間に
大きな隔たりを感じて、
読み終わる前にページを閉じていました。
不安を深掘りすると、動けなくなる理由が見えてきた
――私を止めていたのは、2つの不安だった
なぜ応募できないのか。
何が、こんなに怖いのか。
ある日、スマホのメモアプリに
自分の不安を書き出してみました。
デジタル化への恐怖
今の事務は、対面じゃなく全部オンライン。
チャットで指示が飛び、
Zoomで会議があり、
クラウド上で資料を共有する。
そんな働き方に、
自分がついていけるイメージが湧きませんでした。
- 返信が遅れたら迷惑をかけるのでは?
- 画面共有で操作が分からなくなったらどうしよう
考えれば考えるほど、怖くなりました。
資格への怯え
もうひとつの不安は「資格」でした。
事務といえばMOS。
持っていないと、
書類選考の時点で弾かれるんじゃないか。
そもそも
スタートラインにも立てないのでは――。
励ましてほしいわけじゃない。
不安を否定したいわけでもない。
ただ、私はここで止まっていました。
それが事実でした。
募集要項を見比べて、初めて気づいたこと
――資格より見られていたのは、別の部分だった
ある夜、諦めきれずに
在宅秘書の募集を10件以上、じっくり読んでみました。
すると、思っていたのと違うことに気づきました。
「MOS必須」と書かれている募集は、
実はほとんどなかったのです。
代わりによく書かれていたのは、こんな内容でした。
- 基本的なPC操作ができる方
- メールやチャットで丁寧にやり取りができる方
- 指示を正確に理解して実行できる方
- 報告・連絡・相談ができる方
求められていたのは、
「高度なスキル」ではなく
「基本的なこと」でした。
これは
「大丈夫だった」という話ではありません。
思っていたのと違った、という気づきでした。
主婦の経験は、こうやって「事務スキル」になる
自分の日常を、もう一度書き出してみました。
すると、意外な共通点が見えてきました。
| 日常でやっていること | 事務の仕事で言うと |
|---|---|
| 学校プリント管理・期限チェック | スケジュール管理・ファイル整理 |
| 家計簿をつける | データ入力・収支管理 |
| PTAや習い事の連絡 | メール・チャット対応 |
| 病院・役所の手続き | 電話対応・書類作成 |
| 献立と買い物リスト作成 | タスク管理・優先順位づけ |
特別なスキルじゃない。
でも、日常の延長線に
事務の仕事がありました。
正直、向いていない仕事もある
――やらない判断をした案件
すべての在宅事務が
自分に合うわけではありません。
私は、こんな募集は避けました。
- Excel関数・ピボットテーブル必須
- 即戦力・経験者前提
- 即時レスポンスが常に求められるもの
無理して応募しても、
自分も相手も困る。
これは逃げではなく、
自分の現状を正しく見た判断でした。
私も、落ちた
実は私も、在宅秘書サービスの
フジ子さんに応募してみました。結果は、不採用。
最初は
「やっぱり私には無理だった」と思いました。
でも、条件を見返して気づきました。
そこは、即戦力を求める募集だったのです。
これは
「私がダメ」だったのではなく、
「今の私には合わなかった」だけ。
在宅秘書にも、いろいろあります。
大事なのは、
自分のレベルに合う場所を選ぶことでした。
今のあなたが、今日できる一歩
もし、私と同じ場所で
立ち止まっているなら。
今日できることは、たったひとつ。
夜の30分でいい。
募集を、ただ眺めてみてください。
- 応募しなくていい
- 登録しなくていい
ただ、10件ほど読んでみて
スマホのメモに書き出す。
- 自分が日常でやっていること
- 募集のどこに当てはまりそうか
- 難しそうなこと
それだけで十分です。
さいごに
この記事は、成功談ではありません。
ノウハウでもありません。
10年以上専業主婦だった私が、
夜22時にスマホで検索して、
不安で立ち止まり、
それでも少しずつ気づいていった話です。
もし今、
「デジタルについていけるか不安」
「資格がないから無理かも」
そう思っているなら。
それは、私も思っていました。
でも、思っていたのと違いました。
資格より、経験。
特別なスキルより、丁寧さ。
今日の夜、30分だけ。
募集を眺めてみてください。
それが、最初の一歩になるかもしれません。
